2024/07/22 — WPN 201
誰でも歓迎する健全なコミュニティを築き、育んでいる、3つのWPN店舗の実例をご紹介します。
2024/07/22 — WPN 201
誰でも歓迎する健全なコミュニティを築き、育んでいる、3つのWPN店舗の実例をご紹介します。
Written by Jon Shreves.
18年前に「グッド・タイムズ・ゲームズ&エレクトロニクス/Good Times Games and Electronics」を開いたロブ・グルーバー/Rob Gruber氏は、コミュニティを築くためにはそのための方法を突き詰めなければならないと理解しました。「ともに働く仲間が120万人もいるわけではなく、資金が5万ドルもあるわけでもないですから。顧客になり得るのは10,000人ほど。全員を歓迎し、顧客に変える必要があるんです」
それから20年近くが経った現在、「グッド・タイムズ・ゲームズ&エレクトロニクス」は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州プリンス・ルパートのマジック・プレイヤーやゲームファンが集まるゲーマーのハブとなっています。
見事なコミュニティを築き上げたのは、ロブだけではありません。私は最近、3人のWPN店舗オーナーとお話をする機会がありました。「ムーンショット・ゲームズ/Moonshot Games」のアマンダ・マンシップ/Amanda Manship氏と「クリティカル・ヒット・ゲームズ/Critical Hit Games」のチャンス・カーチホフ/Chance Kirchhof氏、それから「グッド・タイムズ・ゲームズ&エレクトロニクス」のロブ・グルーバー氏です。そして私は彼らから、誰でも歓迎するコミュニティを築き、管理する方法を学びました。
彼らは、非常に価値ある洞察を語ってくれました。誰もが家のようにくつろげる空間を作るためには、信頼関係を築き、一見馬鹿馬鹿しいことを受け入れ、コミュニティの情熱に応えることが肝要なのです。
アマンダ・メンシップ氏は、誰でも歓迎する雰囲気はお客さまがドアから入ってきた瞬間に始まると言います。「店に入ってきた方へ、『ムーンショットへようこそ! 何かお探しですか?』とお声がけをしているだけです。とても簡単ですよ。お客さまが『いえ』とお答えなら、『ムーンショットへのご来店は初めてですか?』と続けます。良い会話の入口になりますよ」
会話を弾ませ信頼関係を築くことで、お客さまはリラックスして居心地の良さを感じ、堅苦しい挨拶に緊張することもない、と彼女は強調しました。これは新しいお客さまがすぐにコミュニティに馴染めるきっかけとなり、常連にとっては店のことを知っているという誇りを感じる機会になるのです。
「ムーンショット・ゲームズ」では、使命感を持って集中して業務に取り組むスタッフを育成することで、誰が訪れても上質な歓迎を受けられるようにしています。アマンダ氏は、スタッフとの関係もその一環であると考えています。スタッフ同士でゲームを遊んだり出かけたり、アクティビティを楽しんだりして、仲間意識を高めていくのです。他者への献身的な姿勢が育まれていることも、彼女の店舗の特徴の1つです。
「グッド・タイムズ・ゲームズ&エレクトロニクス」のロブ氏は、楽しむことや馬鹿馬鹿しいことをするのも仕事のうちだと言います。「みんなが子供に戻って楽しめるようにしてやるんです。とにかく一番に馬鹿馬鹿しいことをしますよ。それでいいんです」
「ムーンショット・ゲームズ」や「グッド・タイムズ・ゲームズ&エレクトロニクス」のプレイヤーは、嘲笑されることなくありのままでいられることに安心感を覚えています。自らが面白おかしく振る舞うことで、誰もがリラックスして楽しめるのです。
「クリティカル・ヒット・ゲームズ」のチャンス・カーチホフ/Chance Kirchhof氏と経営パートナーであるウェイン・フーヴァー/Wayne Hoover氏は、プレリリースのテーマに合った音楽を流すようになりました。『Unfinity』のときはさらにもう一歩踏み込み、飾りリボンで作った衣装を着て「Faux-Tour」イベントを盛り上げたのでした。
それから『サンダー・ジャンクションの無法者』では、チャンス氏が長年夢見てきた開拓地時代をテーマにしたファンタジー・セットが実現しました。「その情報を聞いた瞬間に、サルーンのドアを通らなきゃと思いましたね」彼は手配書風のポスターなど西部劇テーマの装飾で店舗を飾りつけ、付け髭コンテストも開催しました。
その努力は、舞台を飾るためだけのものではないとチャンス氏は言います。効果のほどは顕著に表れました。「イベントに参加しなかったお客さまにも、『こういうイベントを求めていた』と感じてもらえます。マジックのキャラクターやテーマを面白おかしく楽しめますから」
「どんな嗜好の方でも歓迎する」のが、「ムーンショット・ゲームズ」の方針だそうです。これにより、プレイヤーのニーズや情熱に合ったイベントを提供できるようになりました。競技志向のプレイヤーによるチーム「Moonshot」は、各地へ旅をしてルール適用度の高いイベントを回っています。また、アマンダが創設した女性中心の統率戦グループ「She-EDH」も、定期的にイベントを開催してコミュニティを成長させ続けています。
『指輪物語:中つ国の伝承』シーズンにカジュアルなイベントが必要だと見た「クリティカル・ヒット・ゲームズ」は、二度目の朝食をテーマにした「Magic Sunday Brunch」というアイデアを思いつきました。この小さなイベントは、マジックをプレイしながら食べ物と笑顔を共有するというものでした。今では人気のイベントになっています。
「グッド・タイムズ・ゲームズ&エレクトロニクス」の「Ladies' D&D」は、6人のお母さんの子どもとの関わりを持ちたいという願いから生まれました。今ではそのグループに、90人の女性が所属しています。「子どもたちよりお母様の方がハマっていますよ……ずっとプレイしています」とロブは言います。
「お客さま全員に、たまり場にしてほしいですね。仲間内だけで集まるゲーム店には絶対にしたくないんです。みんなのたまり場を目指してください」とチャンス氏はアドバイスを送ります。他の店のことはあまり気にせず、自分の店やその土地ならではのセンスを活かしてほしいと語ってくれました。
チャンス氏は、「クリティカル・ヒット・ゲームズ」が家のようにくつろげる場所になっているのはコミュニティの貢献が大きいと言います。「はじめは自分の店を分け与えるという感覚でしたが、今では『お客さまの店』になっています。そうなるのが良いことなんです」
「ムーンショット・ゲームズ」のアマンダ氏と「グッド・タイムズ・ゲームズ&エレクトロニクス」のロブ氏は、子ども向けのプログラムで大きな成功を収めています。ティーチング・イベントや子ども向けのゲーム練習会、さらには最も若い子どもたち向けにサマーキャンプも行っています。
ロブ氏は、誰でも歓迎する健全なコミュニティがもたらす長期的な恩恵をこう語ります。「子どもたちは店舗とともに成長し、やがて大人の顧客になります。今は年長の子どもも、かつては年少の子どもでした。当時の年長の子どもから遊び方を学んできたのです。だから彼らは知っています。自分が年長になったときは年少の子どもを助けることが仕事なのだと」
誰でも歓迎する雰囲気を育むのには時間がかかります。それは事実です。ですがその価値は間違いなくあります。「あなたが他者に目を向け、その人が受け入れられていると感じられたなら、のちに必ず報われる」とアマンダ氏が言うように。