2017/05/26
ゼロからコミュニティを立ち上げる際に有効な古き良き手段をご紹介。
2017/05/26
ゼロからコミュニティを立ち上げる際に有効な古き良き手段をご紹介。
開店9ヵ月でアドバンスプラス・レベル達成は驚くべきことです。さらにほとんどの人がマジックを知らない街でそれを成し遂げたとあれば、偉業と言って差し支えないでしょう。ロシアのサラトフに店舗をオープンさせた「ゴロド/Gorod」のドミートリー・チェルニシェフ/Dmitry は、積極的な売り込みと宣伝でWPN最高レベルに到達しました。今回は、彼の成功の秘訣をお届けします。
ロシアでは、ターゲット層の間でもマジックはほとんど知られていません。オープン当初の私たちは、可能な限り多くのゲーマーへ積極的に売り込んでいかなくてはなりませんでした。
私は営業の経験があり、それが役に立ちました。「パーチェスファネル」という言葉をご存知でしょうか。消費者の商品購入までの流れを段階に分けて図式化したものです。基本的に、第一段階の「認知/Awareness 」に入る消費者が多ければ多いほど、最終段階の「購入/Purchase」まで至る数も多くなります。
この考え方は他の分野でも長い時間をかけて広く知られたものであり、もちろんゲーム店でも有効です。まずは広い範囲に網を投げて多くの人に宣伝し、そのうち3~4%を引き込んでいけば良いのです。
そのための戦略を以下にご紹介します。
大学生はパーチェスファネルへ取り込むのに絶好の相手です。
私たちは、「生徒たちに交流の場を用意し、新しい友人を作る機会を与える」という非常にシンプルなアイデアを持って、大学に声をかけました。
大学のイベント担当者のようにマジックのことを知らない人に説明をする場合、できるだけシンプルに伝えましょう。マジックが持つ魅力は多彩で奥深いですが、その中でも「交流の楽しさ」を強調すれば担当者の興味を引きやすいと思います。
大学側には会場を用意してもらうことができ、またポスターの掲示と生徒への宣伝を許可してくれました。私たちはウェルカムデッキとスタッフを用意し、ゲームを紹介しました。
3回ほど行ったこのイベントは、すべて大成功を収めることができたのです。
パーチェスファネルの各分類は諸説ありますが、大抵、第2段階には「好意/opinion」や「関心/interest」が置かれます――消費者が商品のことをもっと知りたくなる段階であり、購入に向かうかどうかがここで決まります。そこで「買う」と決心させられるかどうかは、体験会の質によるのです。
新規プレイヤーにマジックを体験させる際は、マジックの持つ高度な戦略性や競技的な面まで教えるのは控えた方が良いでしょう。そういった面は、のちのち自分たちから学ぶようになります。中にはTCGそのものを知らない方もいるので、私たちはモノポリーのようなよく知られたゲームを引き合いに出して説明しています。
パーチェスファネルにおける購入前の最終段階は「欲求/Desire」と呼ばれます――消費者が商品を気に入り、購入にさらに前向きになる段階です。これを実現するためには、最初の体験が良いものであることが求められます。
始めたてのプレイヤーにとって、「常にお金がかかる」という状況は長続きしない要因になります。そこで私たちは参加費が無料のイベントや非常に安いイベントも用意し、「常にお金がかかる」というイメージを払拭しました。
マジック交流会をきっかけにし、マジック・リーグで習慣を作る
マジック交流会とマジック・リーグはどちらも参加費の安いイベントであり、新規プレイヤーがマジックで遊ぶ習慣を作るのに最適です。マジック交流会ではウェルカム・デッキを使用したティーチングを受けることができ、その後和やかな雰囲気の中ゲームと交流を楽しむことができます。マジック・リーグでは新規プレイヤーや興味を持ったプレイヤーを中心に、マジックを毎週カジュアルに楽しめる場を用意することができます。
そして最後に、消費者は商品を購入します。「買わなければ遊べないから」ではなく、商品を心から気に入ったから購入に至るのです。
その後もしばらくは、競技志向のプレイヤーとカジュアル志向のプレイヤーを一緒にしないよう気をつけました。せっかく組んだ楽しいデッキが手も足も出ず負け、カードの選択がどれだけ酷いのかを言われることは気持ちの良い体験にはなりませんから。ちょっと言い過ぎたかもしれませんが、言いたいことはわかっていただけると思います。
本日お話したことは私たちのビジネスの柱となり、その成功には満足しています。今では毎週金曜日に25~30人のプレイヤーが集まっています。1年前なら、その数字はこの街でマジックのことを知っている人の総数だったのです!
本日の店舗:Gorod