2020/08/06

パック開封を楽しむためのパック

大半のブースターパックはドラフトに使われていません。それでも、ドラフト・ブースターはドラフト向けに作られています。プロダクト・アーキテクト担当のマーク・ヘジェン/Mark Heggenが、間もなくやって来る変化について詳しく語ります。

2020/08/06

パック開封を楽しむためのパック

大半のブースターパックはドラフトに使われていません。それでも、ドラフト・ブースターはドラフト向けに作られています。プロダクト・アーキテクト担当のマーク・ヘジェン/Mark Heggenが、間もなくやって来る変化について詳しく語ります。

Mark Heggen, Product Architect

どうもこんにちは。私はマーク・ヘジェン/Mark Heggen。マジックのテーブルトップ・スタジオで製品戦略を担当しています。私たちの大切なパートナーであるWPN店舗の皆さまに、こうして「セット・ブースター」についてお話しする機会をいただけて嬉しく思います。

マジックの26年にわたる歴史の大半において、製品の最小単位を担ってきたのがブースターパックです。マジックのカードはそのほとんどが、ブースターパックを開封して出てきたものなのです。お客さまにとっても長年にわたり、ブースターパックの開封がマジックを購入する手段となっています。

それらは今でこそ「ドラフト・ブースター」と呼ばれるようになりましたが、最近まで特定の製品名が必要ありませんでした。単に「ブースターパック」だったのです。

マジック・ファンがブースターパックをさまざまな方法で楽しんでいることは、私たちもよく知っています。マジックにはさまざまなプレイヤーがいて、ブースターパックはさまざまな目的で使われているのです。しかし正直に言うと、私たちはこれまでマジック・ファンに直接尋ねたことはありませんでした――「ブースターパックをどう使いますか?」と。私たちはただブースターパックを作り、あとはそれぞれ好きなように使っていただこうと思っていたのです。

私たちがブースターパックに求めていたのは、ブースター・ドラフトに最適な製品であることでした。すべてのマジック・ファンのための製品がこれしかなかったため、最も熱心なプレイヤーに目を向け、彼らのためにドラフト環境のバランスを丁寧に取っていたのです。

しかしマジック・ファンの大半は、ブースターパックを開封するときにドラフトをプレイしません。開封されるブースターパックのおよそ3分の2が、ドラフトに使われていないのです。多くの場合、パック開封は10秒ほどで終了します。ほとんどの人が、パックを開封して手に入るものやセットの内容を見るだけです。

3分の2がこのように開封されているにも関わらず、私たちはこれまでずっと残りの3分の1に向けてブースターパックを作っていたというわけです。私たちは数年前にそのことと向き合い、そして考慮を重ねた結果、新しいタイプのブースター製品が生まれました。

まずは、「Theme Booster」。特定の色のカードを集めたいと思っているプレイヤーに有用なものが多く入っています。それから、「コレクター・ブースター」。「コレクション」に特化した製品です。

そしてその後、私たちは大多数のさまざまなプレイヤーのための製品に目を向けました。その結果生まれたのが、「セット・ブースター」です。

セット・ブースターは、ドラフトをプレイしないマジック・ファン向けの製品を想定して、パック開封そのものをいかに面白くするかに焦点を当てて作られました。「パック開封」そのものを使用目的に据えて考えると、ドラフト・ブースターに封入されるカードとは異なるものが求められます。

そこで新たなラインアップでは、異なるタイプのブースター製品を4つ用意し、それぞれに明確な目標を定めました。

1つはドラフト・ブースター。ドラフトはもちろん、プレリリースなどでシールドを楽しめる製品です。パックから出現したカードで対戦を楽しみたい方は、ドラフト・ブースターがおすすめです。

2つ目はTheme Booster。新規プレイヤーが効率的にコレクションを増やすのに最適な製品です。特定の色のカードが多く入っています。

3つ目はコレクター・ブースター。そのセットで最もホットなカードを直接手に入れられます。

そして4つ目がこのセット・ブースター。パック開封そのものを楽しむのに最適な製品です。私たちはこれらを楽しいものにするためにさまざまな方法を考えましたが、ここでは特にうまく実現できた5つをご紹介します。

1.さらなる輝き。セット・ブースターには、少なくとも1枚フォイル仕様のカードが封入されています。『ダブルマスターズ』のように、どのパックにもフォイル仕様のカードを封入する試みは過去にも行なっていますが、スタンダードで使用できるセットで行なうのは初めてです。フォイル仕様のカードが2枚手に入ることもありますし、土地がフォイルの可能性もあります。

2.世界観にスポットライトを当てる。マジック・ファンの中には、最新セットのアートやストーリー、キャラクターを味わうためにパックを開封する方もいます。そういう方のために、セット・ブースターは『モダンホライゾン』で導入されたアート・カードで開封体験が開幕します。アート・カードにはテキストがなく、プレイには使えません。カード全面に美しいアートが広がっているだけです。

また、コレクターたちの集める楽しみをさらに増やすため、各アート・カードにはアーティストのサイン・スタンプ入りのものもあります。

3.パック内容の再考。セット・ブースターはドラフトに最適化する必要がないため、私たちはコモンとアンコモンについても新しい試みができます。そこで、このパックに入っているコモンとアンコモンに何らかの関連性を持たせました。その関連性は、カード間でシナジーを持つものや、その世界の住民であるゴブリンが3体異なる姿で描かれたもの、新しいデッキのアイデアを生むものなど、さまざまです。

4.より大きな当たり。セット・ブースターには、レアリティが不確定な枠がいくつかあります。1パックで4枚のレアが手に入る可能性もあるのです。そう簡単に起こることではありませんが、可能性はあります。

5.変化球。最後に、マジックの最も魅力的な部分は、その奥深さと懐の深さです。そこでバランスの取れたドラフト体験を作る必要がないセット・ブースターでは、このゲームの歴史の中でひときわ輝くカードを少しご紹介する(あるいは思い出を蘇らせる)のも楽しいだろうと私たちは考えました。

セット・ブースターには、トークン・カードの代わりに「リスト」のカードが入っていることがあります。「リスト」のカードは全300種類で、マジックの開発スタジオが手ずから厳選しました。マジックの歴史を彩るさまざまなカードが選ばれています。それらは左下隅に小さなプレインズウォーカー・シンボルが入っている以外、昔のままの形で印刷されています。

「リスト」には超強力なカードもあれば、マジックの歴史の1コマを感じられるスリヴァーや侍といったカード、大昔のセットの一風変わったカードなども含まれています。

私たちはこれらの目標を丁寧に組み合わせ、マジックのカード12枚を含む全14枚入りのパックを作り上げたのです。

繰り返しになりますが、マジック・ファンに開封したカードを最後まで楽しんでいただくにはどうすればいいでしょう?レアを確認したり、フォイルの有無や第1ピックの候補を確認したりするために、最後の方のカード以外は読み飛ばされてしまうのを防ぐには?開封体験に流れを作り、パックを開封するたびに楽しめるものを作るために、私たちに何ができるでしょう?

その答えは、9月18日の『ゼンディカーの夜明け』プレリリースで明らかになるでしょう。プレリリースに参加した方には、セット・ブースターをお贈りします(数量には限りがあります)。貴店のプレイヤーたちがセット・ブースターを体験し、そのすべてを味わう日が待ちきれません。

『ゼンディカーの夜明け』プレリリースは、ウィザーズイベントリンクにて申請受付中です。

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