2019/07/26

Gary Ray: 次に来るマジックの新製品をいくつ発注すべきか?

実績あるメーカーが見慣れない製品を発表――どのように備えるべきでしょうか?「ブラック・ダイアモンド・ゲームズ/Black Diamond Games」のゲイリー・レイ/Gary Rayの場合をご紹介します。

2019/07/26

Gary Ray: 次に来るマジックの新製品をいくつ発注すべきか?

実績あるメーカーが見慣れない製品を発表――どのように備えるべきでしょうか?「ブラック・ダイアモンド・ゲームズ/Black Diamond Games」のゲイリー・レイ/Gary Rayの場合をご紹介します。

私の店の売上の80%は、およそ30のゲーム・メーカーの製品で占められています。

だから数あるメーカーの中でもその30社が新製品を発表したときは、その製品を発注するかどうかではなく「いくつ発注するか」を考えます。「コレクター・ブースター」のようなマジックの新製品は、まさにそれに当てはまります。問題は「いくつ発注するか」。

ここで告白しますが、実は、私自身はマジックをプレイしません。

そんな私がマジックで商売ができているのは、周りの人が言うことに耳を傾け、実績あるウィザーズの今後の製品についての評判を確かめ、そうして得た情報を発注につなげ、TOYOTAカローラを購入できるくらい財政状況を整え、仕入れた製品を販売するスタッフを適切に配置できているからです。

ここでは、私のやり方を順番にご紹介します。

 

ステップ1:内容領域専門家(SME)に相談する

 

マジックのセットは間違いない商品なのですが、それでも他のセットと比べて売上の伸びが遅いものがあります。15年以上にわたる私の経験から言うと、在庫を抱えることを恐れたときは失敗します。とはいえ買い過ぎは避けたいところ。そこで私が最初にするのは、「SME」への相談です。

SME(「スミー」と発音します)は、「内容領域専門家」を意味するプロジェクトマネジメント用語です。あなたの仕事がスタッフとプロジェクト進行の管理であるなら、そのプロジェクトの専門家でないことを恥じる必要はありません。多くの店舗オーナーが、自分でSMEになろうとしています。私は、SMEを別に用意しているのです。

先日の「サンディエゴ・コミコン」で発表された「コレクター・ブースター」は、貴重なカードを集めたいマジック・ファンに向けてデザインされた製品です。詳しくはマジックの主席デザイナーによるこちらの記事をご覧ください。

SMEはコミュニティと深く結びついています。彼らはオンライン上の議論を読み、お客さまの声に耳を傾けています。カード・プレビューの反応を観察し、それから今後の製品に向き合うのです。私が相談しているSMEは、初期の需要予測に長けています(長期的な需要予測は私たちの仕事です)。だからまず相談するのです。

 

ステップ2:需要はそこそこある?

 

私がSMEから知りたいことは、最初の30日間における需要予想です。私は利用しているすべての問屋と30日間にわたって取り引きをしています。だからその期間中のマジック製品の売上が大事なのです。

ですがSMEは私がその30日間でどれだけの製品を販売しているのか詳しく知りません――需要曲線の推移がわからないのです。そこで私たちは、20個ほどの質問に答えています。

需要はそこそこある?マジックのセットの全体的な需要について知りたいのか、それとも特に重要な初動について知りたいのか?前回のセットと比べて需要は大きいのか、小さいのか、同じくらいなのか?それらを確認してからPOSデータの販売履歴を見て、30日間の販売パターンを推測するのです。

 

ステップ3:カローラの商品価値

 

私が相談しているSMEは一般的な需要予想を教えてくれますが、マジックの製品の需要曲線がどのように推移するのかについては専門外です。なので私のアシスタント・マネージャーは、SMEに教わった数字の倍の見積もりを立てて私に伝えています――彼は初期の需要の高さと最新セット発売週の忙しさを熟知しているのです。

さて、その結果は?そのセットが大きく話題になっていると、およそ1週間で売り切れます。あまり話題になっていない場合は、売り切るのに45日以上かかることが多いです。

完璧な予測は難しいというわけですね。余裕のある店舗なら、過供給になっても問題はないでしょう。追加で6ケース買ってしまっても大丈夫ですよね。むしろ、セット発売後に問屋と取り引きをする「最後の1人」になることが嬉しいはずです。

貴店がこういった余裕のある店舗なら、マジックの製品を大量に買ってもリスクは少ないでしょう。しかし私もそんな余裕はありませんし、これを読んでいる皆さんもきっとそうだと思います。在庫不足にならず、かつ十分な売上が見込める数を見極めたいところです。

 

ステップ4:素早く売り切る

 

商品は勝手に売れるわけではありません。少なくとも、放っておくだけでは良い売上は望めないでしょう。マジックの新製品は、基本的に新イベントとともにやって来ます。イベントがその製品の売上を伸ばし、イベントの参加費もまた売上に含まれます。

『Brawl Decks』は比較的新しいフォーマット「ブロール」に向けた製品であり、そのためのイベントも開催されます。なので私は、そのイベントのことも計算に入れています。

『Brawl Decks』には、カード60枚入りの構築済みデッキが入っています。ブロール・フォーマットのために組み上げられた各デッキのカードは、すべてスタンダードで使用可能です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

マジックが商材として最高のゲームである理由は、単に最高に面白いというだけではありません。販売が楽なのです。新製品が出るたびに開催されるイベントや、無料でもらえるウェルカム・デッキ、新規プレイヤーに遊び方を教えてくれる専門スタッフなど、充実のサポートを存分に活かして売れる仕組みを築き上げましょう。

ここでお話しした内容は、私の店にとってマジックの製品だけでなく、他の商品を売る上でも基本的な考え方となっています。

『エルドレインの王権』で登場する新製品に、貴店はどのように備えていますか?『Brawl Decks』と「コレクター・ブースター」の発注計画を立てるときに、ゲイリーの方法を試してみてください。

関連記事

私たちのサイトを正しく機能させセッションデータを正しく匿名化するために、私たちはnecessary cookieを使用しています。necessary cookieのオプトアウト設定は、ブラウザの設定から行ってください。また、お客さま1人1人に合ったコンテンツや広告をご提供したり、ソーシャルメディアの機能を配信したり、ウェブのトラフィックを解析したりするために、optional cookieも使用しています 「はい、同意します」をクリックすると、optional Cookieの使用に同意したものとします。(Cookieについて詳しく